第1章 総則(第1条―第8条の2)/戦傷病者特別援護法
(昭和三十八年八月三日法律第168号)
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最終改正:平成一三年六月二二日法律第61号
第1章 総則
(目的)
第1条
この法律は、軍人軍属等であつた者の公務上の傷病に関し、国家補償の精神に基づき、特に療養の給付等の援護を行なうことを目的とする。
(定義)
第2条
この法律において「戦傷病者」とは、軍人軍属等であつた者で第4条の規定により戦傷病者手帳の交付を受けているものをいう。
2
この法律において「軍人軍属等」とは、次の各号に掲げる者をいい、「公務上の傷病」とは、次の各号に掲げる軍人軍属等につきそれぞれ当該各号に規定する負傷又は疾病をいう。
一
恩給法の一部を改正する法律(昭和二十一年法律第31号)による改正前の恩給法(大正十二年法律第48号)(以下「改正前の恩給法」という。)第21条に規定する軍人又は準軍人(陸軍及び海軍の廃止後において未復員の状態にある者を含む。) 公務による負傷又は疾病(恩給法の規定により公務による負傷又は疾病とみなされるもの及び軍人又は準軍人たる特別の事情に関連して生じた不慮の災難による負傷又は疾病で戦傷病者戦没者遺族等援護法(昭和二十七年法律第127号)第4条第1項に規定する審議会等において公務による負傷又は疾病と同視すべきものと議決したものを含む。)
二
元の陸軍若しくは海軍部内の改正前の恩給法第19条に規定する公務員若しくは公務員に準ずべき者(前号に掲げる者に該当する者を除く。)又は戦時又は事変に際し臨時特設の部局又は陸海軍の部隊に配属せしめたる文官補闕の件(明治三十八年勅令第43号。以下この号において「文官補闕の件」という。)に規定する文官(陸軍及び海軍の廃止後において未復員(文官補闕の件に規定する文官にあつては、海外からの未帰還を含む。)の状態にあるこれらの者を含む。) 昭和十二年七月七日以後における公務による負傷又は疾病(恩給法の規定により公務による負傷又は疾病とみなされるもの及び公務員、公務員に準ずべき者又は文官補闕の件に規定する文官たる特別の事情に関連して生じた不慮の災難による負傷又は疾病で戦傷病者戦没者遺族等援護法第4条第1項に規定する審議会等において公務による負傷又は疾病と同視すべきものと議決したものを含む。)
三
もとの陸軍又は海軍部内の有給の嘱託員、雇員、傭人、工員又は鉱員(陸軍及び海軍の廃止後において未復員の状態にある者を含む。) 昭和十二年七月七日以後における公務による負傷又は疾病
四
旧国家総動員法(昭和十三年法律第55号。旧関東州国家総動員令(昭和十四年勅令第609号)を含む。)に基づいて設立された船舶運営会の運航する船舶の乗組船員 戦地における勤務を命ぜられた日から当該勤務を解かれた日までの期間内及び昭和二十年九月二日以後引き続き海外にあつて帰還するまでの期間内における業務による負傷又は疾病
五
もとの陸軍若しくは海軍の指揮監督のもとに前4号に掲げる者の業務と同様の業務にもつぱら従事中の南満洲鉄道株式会社(南満洲鉄道株式会社に関する件(明治三十九年勅令第142号)に基づいて設立された会社をいう。)の職員又は政令で定めるこれに準ずる者 昭和十二年七月七日以後、期間を定めないで、又は一箇月以上の期間を定めて、事変地又は戦地における当該業務に就くことを命ぜられた日から当該業務に就くことを解かれた日までの期間内における業務による負傷又は疾病
六
旧国家総動員法第4条若しくは第5条(旧南洋群島における国家総動員に関する件(昭和十三年勅令第317号)及び旧関東州国家総動員令においてこれらの規定による場合を含む。)の規定に基づく被徴用者若しくは総動員業務の協力者又は総動員業務の協力者と同様の事情のもとに昭和十六年十二月八日以後中国(もとの関東州及び台湾を除く。)において総動員業務と同様の業務につき協力中の者 業務による負傷又は疾病
七
もとの陸軍又は海軍の要請に基づく戦闘参加者 当該戦闘に基づく負傷又は疾病
八
昭和二十年三月二十三日の閣議決定国民義勇隊組織に関する件に基づいて組織された国民義勇隊の隊員 業務による負傷又は疾病
九
昭和十四年十二月二十二日の閣議決定満洲開拓民に関する根本方策に関する件に基づいて組織された満洲開拓青年義勇隊の隊員(昭和十二年十一月三十日の閣議決定満洲に対する青年移民送出に関する件に基づいて実施された満洲青年移民を含む。)又は当該満洲開拓青年義勇隊の隊員としての訓練を修了して集団開拓農民となつた者により構成された義勇隊開拓団の団員(当該満洲開拓青年義勇隊の隊員でなかつた者を除く。) 昭和二十年八月九日前における軍事に関する業務による負傷若しくは疾病又は同日以後における業務による負傷若しくは疾病
十
旧特別未帰還者給与法(昭和二十三年法律第279号)第1条に規定する特別未帰還者 昭和二十年九月二日以後引き続き海外にあつて帰還するまでの期間内における自己の責に帰することができない事由による負傷又は疾病で厚生労働大臣が前各号に規定する負傷又は疾病と同視することを相当と認めたもの
十一
日本国との平和条約第11条に掲げる裁判により拘禁された者 当該拘禁中における自己の責に帰することができない事由による負傷又は疾病で厚生労働大臣が第1号から第9号までに規定する負傷又は疾病と同視することを相当と認めたもの
十二
旧防空法(昭和十二年法律第47号)第6条第1項若しくは第2項(旧関東州防空令(昭和十二年勅令第728号)及び旧南洋群島防空令(昭和十九年勅令第66号)においてよる場合を含む。)の規定により防空の実施に従事中の者又は同法第6条ノ二第1項(旧関東州防空令及び旧南洋群島防空令においてよる場合を含む。)の指定を受けた者(第4号に掲げる者を除く。) 業務による負傷又は疾病
3
前項第1号から第5号までに掲げる者に該当する者については、昭和十二年七月七日以後事変地又は戦地におけるその者の負傷又は疾病で、故意又は重大な過失によるものであることが明らかでないものは、当該各号に掲げる負傷又は疾病とみなす。
4
第2項第1号から第4号まで及び第9号に掲げる者に該当する者については、その者が昭和二十年九月二日以後引き続き海外にあつて復員又は帰還するまでの間における自己の責に帰することができない事由による負傷又は疾病で、厚生労働大臣が公務又は業務による負傷又は疾病と同視することを相当と認めたものは、当該各号に規定する負傷又は疾病とみなす。
5
第2項第1号から第3号までに掲げる者に該当する者については、その者が昭和二十年九月二日以後海外から帰還し、復員後遅滞なく帰郷する場合のその帰郷のための旅行中における自己の責に帰することができない事由による負傷又は疾病は、当該各号に規定する負傷又は疾病とみなす。
6
第2項第1号から第5号までに掲げる者については、その者の昭和十二年七月七日以後の本邦その他の政令で定める地域(事変地及び戦地を除く。)における事変に関する勤務(政令で定める勤務を除く。)又は戦争に関する勤務(政令で定める勤務を除く。この項において同じ。)に関連する負傷又は疾病(昭和二十年九月二日以後における負傷又は疾病で厚生労働大臣が戦争に関する勤務に関連する負傷又は疾病と同視することを相当と認めるものを含む。)は、当該各号に規定する負傷又は疾病とみなす。
7
第2項第6号から第12号までに掲げる者については、その者の昭和十二年七月七日以後における業務に関する勤務(政令で定める勤務を除く。)に関連する負傷又は疾病は、当該各号に規定する負傷又は疾病とみなす。
8
第2項第4号若しくは第5号、第3項又は第6項に規定する戦地の区域及び第2項第5号、第3項又は第6項に規定する事変地の区域並びにこれらの区域が戦地又は事変地であつた期間は、政令で定める。
(国、地方公共団体及び国民の責務)
第3条
国は、戦傷病者に対する国民の理解を深めるように努めるとともに、戦傷病者がその傷病による障害を克服し、社会経済活動に参与しようとする努力に対し、必要な措置を講じなければならない。
2
地方公共団体は、前項の国の責務の遂行に協力しなければならない。
3
国民は、戦傷病者が今なお置かれている特別の状態に深く思いをめぐらし、戦傷病者がその傷病による障害を克服し、社会経済活動に参与しようとする努力に対し、協力するように努めなければならない。
(戦傷病者手帳の交付)
第4条
厚生労働大臣は、軍人軍属等であつた者で次の各号の一に該当するものに対し、その者の請求により、戦傷病者手帳を交付する。
一
公務上の傷病により恩給法別表第1号表ノ二又は別表第1号表ノ三に定める程度の障害がある者
二
公務上の傷病について厚生労働大臣が療養の必要があると認定した者
2
厚生労働大臣は、前項の場合のほか、第2条第2項第1号に掲げる軍人又は準軍人であつた者で、当該軍人又は準軍人に係る公務上の傷病により旧恩給法施行令(大正十二年勅令第367号。恩給法施行令の一部を改正する勅令(昭和二十一年勅令第504号)による改正前のものをいう。)第31条第1項に定める程度の障害があるものに対しても、その者の請求により、戦傷病者手帳を交付する。
3
戦傷病者手帳は、日本の国籍を有しない者には、交付することができない。
4
厚生労働大臣は、戦傷病者手帳を交付するときは、これに第1項第1号又は第2項に規定する程度の障害の有無、その障害の程度、第1項第2号の認定の有無、当該認定に係る傷病その他政令で定める事項を記載しなければならない。
(記載事項の訂正)
第5条
戦傷病者は、戦傷病者手帳の記載事項に変更があつたときは、当該戦傷病者手帳を厚生労働大臣に提出して、当該記載事項の訂正を受けなければならない。
2
厚生労働大臣は、戦傷病者につき戦傷病者手帳の記載事項に変更があつたと認めるときは、政令の定めるところにより、その者に対し、戦傷病者手帳の提出を命じ、当該記載事項を訂正することができる。
(戦傷病者手帳の返還)
第6条
戦傷病者手帳の交付を受けた者は、第4条第1項第1号(同条第2項の規定に該当する者にあつては、同条同項。以下この条において同じ。)に規定する程度の障害がなくなつたとき(当該公務上の傷病につき療養の必要があるときを除く。)、当該公務上の傷病につき療養の必要がなくなつたとき(同条同項同号に規定する程度の障害があるときを除く。)、又は日本の国籍を失つたときは、すみやかに戦傷病者手帳を厚生労働大臣に返還しなければならない。
2
厚生労働大臣は、戦傷病者手帳の交付を受けた者について第4条第1項第1号に規定する程度の障害がなくなつたと認めるとき(当該公務上の傷病につき療養の必要があるときを除く。)、若しくは当該公務上の傷病につき療養の必要がなくなつたと認めるとき(同条同項同号に規定する程度の障害があるときを除く。)、又は戦傷病者手帳の交付を受けた者が日本の国籍を失つたとき、若しくは第7条の規定に違反したときは、その者に対し、戦傷病者手帳の返還を命ずることができる。
3
厚生労働大臣は、前項の命令をするには、文書をもつて、その理由を示さなければならない。
(戦傷病者手帳の譲渡等の禁止)
第7条
戦傷病者は、戦傷病者手帳を他人に譲り渡し、又は貸与してはならない。
(政令への委任)
第8条
第4条から前条までに規定するもののほか、戦傷病者手帳に関し必要な事項は、政令で定める。
(戦傷病者相談員)
第8条の2
厚生労働大臣は、戦傷病者の福祉の増進を図るため、戦傷病者の更生等の相談に応じ、及び戦傷病者の援護のために必要な指導を行なうことを、社会的信望があり、かつ、戦傷病者の援護に熱意と識見を持つている者に委託することができる。
2
前項の規定により委託を受けた者は、戦傷病者相談員と称する。
3
戦傷病者相談員は、その委託を受けた業務を行なうに当たつては、個人の人格を尊重し、その身上に関する秘密を守らなければならない。
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